自分探しの旅を最速で終える方法

はじめに

人はしばしば、自身の存在意義に悩むものである。
悩むだけなら良いが、それを探して放浪するのは問題である。
そこで当記事では、最も効率的に自身が何たるかを把握し、次の行動に移せる方法を公開する。
ただし、あくまで筆者が考え、実行した方法に過ぎない点、ご留意いただきたい。

過去編

ここで言う過去とは、生前のことである。
自分の誕生に関わってきた人々を明らかにすることで、「○○の子孫」というアイデンティティを確立できる。
そこで行なうのが、家系図調査だ。
方法は以下の通りである。

⑴自分の戸籍謄本を取得する。
①本籍のある町の役所(あるいは役所の機能を持った施設)へ行く。
②申請書類に「家系図作成のため」「全部事項証明書」を申請する旨を記載し提出する。
身分証明証の提示と手数料450円の支払いを行ない交付を受ける。

⑵(祖)父母の戸籍謄本を取得する。
①前項で取得した謄本の筆頭者(一番上に記載されている人物)およびその配偶者の「従前戸籍」の欄にある町へ、同欄にある人名を筆頭者とし、「家系図作成のため」「あるものすべて」を申請する旨を記載した申請書類を提出する。提出方法には、役所等への訪問か、郵送請求かの選択肢がある。後者の場合、申請書類・身分証明証のコピー・それまでに取得した謄本・郵便小為替・返信用封筒・返信用切手を入れて担当課に郵送し、到着後、先方から掛かってくる電話で請求内容および追加対応の確認を行なう。
②役所等を訪問した場合は身分証明証の提示と手数料(全部事項証明書は450円、改製原戸籍謄本および除籍謄本は750円)の支払いを、郵送請求の場合は追加対応を行ない、交付を受ける。

⑶⑵を、戸籍が残っている分まで繰り返す(改製原戸籍謄本および除籍謄本では、「従前戸籍」とは書かれていないため、当該情報は筆頭者の欄から読み解く必要がある)。

※コンピュータ化および活字化以前に編製された戸籍謄本は、崩された手書きの文字で記されていることがしばしばある(ただし変体仮名はほとんど出現しない)。その際は、各種くずし字字典くずし字解読アプリ等を利用すると、解読がスムーズに進む可能性がある。

⑷取得できた戸籍謄本および親族から聞き出した情報を基に、家系図を作成する(特に傍系、すなわち兄弟姉妹の戸籍謄本は法律上取得できないため、これに該当する人物の情報は聞き込み調査が必須である)。

※戸籍出現前の文献の調査も可能ではあるが、戸籍はそれらの文献とは異なり保存期間が定められている。つまり戸籍調査に限っては今でないとできず、その他の調査は後からでも行える余地がある。したがって、ここでは戸籍調査を優先する。

現在編

過去ベースのアイデンティティを確立したら、今度は現在の社会で唯一無二の存在であることを証明しよう。
これには、STR型検査法に基づくDNA鑑定が有用であろう。
STR法は、DNAの特定の箇所で同じ塩基配列が繰り返し出現するのを利用し、その繰り返し回数を調べる鑑定法である。
この方式であれば、近年流行している、ビッグデータを基に人種の割合等を示す遺伝子検査キットとは異なり、数値で客観的に、自分のDNAを示すことができる。
ただ、一つ憂慮すべきことと言えば、筆者はまだこの鑑定を試みていない。

未来編

最終段階では、人生のテーマ生活目標の設定を行なう。
これは一見、これまでより抽象的で、有益性に欠けるように思えるだろう。
ただ未来に関しては、何かしらの目的にしたがって動いた結果の産物が、真にアイデンティティを構成する(「○○の人」というイメージを確立する)と考えられるため、これを行なう必要がある。
まず人生テーマは,以下のように設定する。

⑴自分自身の特徴(好きなもの、嫌いなもの、癖など)を複数挙げる。

⑵⑴に共通する要素を見つける。 

続いて生活目標は、以下のように設定する。

⑴自身の究極の願望を挙げる。

⑵⑴を、先に決めた人生テーマに沿った形に修正する。

以下は、筆者の例である。
まず、人生のテーマから。


●少々感覚過敏なところがある。照明の光がまぶしくて目を開けていられなかったり(これは体調による)、人肌の感覚に強い不快感を抱いたり(これは常にある)といったものだ。それ故、普段皆が気にすることのないことに、強く反応することがある。

●日常系のアニメが好きである。特に異種族が我々の世界で一般的な人間と共に暮らし、その中で我々の生活を意外な見方で捉えるのを面白く感じる。

●世界中の文字が好きである。文章は誰でも毎日大量に見るものだが、それが見慣れない文字で書かれていると、まるで異世界のものがこちらの世界に迷い込んできたかのようなワクワク感を覚える。

「日常の中の非日常」(当たり前の光景の中で見られる、当たり前でないもの)を観察するのが好きである。

続いて、生活目標。

⑴究極の願望は「大金持ちになる」ことである。

⑵大金持ちの特徴を一般的な暮らしの中で再現すれば、日常生活の中で大金持ちという非日常的な感覚になれる。

ちなみに、現在の再現計画は以下の通りである。
「大金持ちの特徴は、使用人を雇い、広い家に住み、健康的な生活を送ることである。
したがって、家電を活用して家事を自動化し、物を減らすか壁に取り付けることで床のスペースを広く取り、最低限のバランスの良い衣食住を、常に確保しておくことでこれらを再現する。」

おわりに 

実際に自分探しの旅に出た猛者はそう多くはないだろうが、昨今、個性の重要性が叫ばれる中、自分の個性が何か思い悩んだ人は少なくないと思う。むしろそのような漠然とした不安を抱えている人こそ、自分自身に向き合う機会を設けるべきであろう。

除籍謄本の例


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